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理由は不意にもう一匹犬を飼いたくなったから。駄目? [ばんぷ]





重苦しかったので
明るい中身の無い話。
といっても中身が無いのはいつものことですが。




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[わんこ]



「おて」

「おかわり」

「すわれ」

「わんっ」



「…………何なの、お前。」

ソファにゆったりと腰掛けた秀ちゃんが
不服そうな顔で足を組み直した。

読んでいた雑誌を丸めて持ち、
戦闘態勢に入った秀ちゃんは
いつもの無表情で俺の返答を待っているみたい。

が、しかし。

(答えても答え無くてもやられる気がする…。)

じりじりと安全地帯まで距離を広げ
秀ちゃんの様子を窺っていると
呆れたように溜息を吐き

「答えによっちゃ加減してやるから。」

と付け加えた。

要は何をしても殴られるってわけだ。

(……それなら)

やったもん勝ちってことだろ!と意気込んで
俺は秀ちゃんに飛び掛かった。

「てやっ!」

「うわっ?!何すんだ馬鹿っ!」

「これで……出来たー!」

「出来たじゃねーよ馬鹿ヒロ!!!」

ばこっと鈍い音がして
頭には音に見合った鈍い痛みが走った。

それでもそんな痛みすらこの報酬の前では安く感じられる。

何故ってそりゃあ
秀ちゃんが犬コスをしているからであります。

「わ、なんだこれぇ!?」

「はい、鏡」

「うっわぁキショ!」

「ちょー可愛いw」

「お前何か湧いてんじゃねぇのか?!」

俺が秀ちゃんの手を押さえてる為に犬耳を外せず
ぎゃあぎゃあ暴れた末
疲れ果てたらしい秀ちゃんは
すっかり大人しくなってしまった。

「いー加減手ぇ離せよ…」

「ダメ。離したら外しちゃうじゃん。」

「当たり前だろぉ。誰が好き好んでこんな格好するってんだよっ!」

ぶつぶつ言いながら
頬をピンク色に染めている秀ちゃんが
それはもう可愛くて可愛くて。

「食べちゃいたいくらい可愛い。」

「そ…いうことは口に出すな!」

「顔真っ赤だ~。照れてる?」

「怒ってんだ馬鹿っ!」

「怒ってんの?」

「当たり前だろ!」

「可愛い~」

「何なんだよお前!!!」

少し休んだら体力が回復したらしく
ジタバタ足をばたつかせてるけど
先に秀ちゃんの足の間に
体割り込ませちゃってるから
金蹴り喰らうことは無し、と。

それから散々言葉で詰った後
(と言っても可愛いを連呼しただけ)
涙目の秀ちゃんに上目遣いに見詰められ
(と言っても本人は睨んでる積もり)
我慢の限界を飛び越えちゃった俺は
(と言っても始めから我慢する気なんて
サラサラ無いですが)
秀ちゃんをそれはもう
懇切丁寧に可愛がってやりました。

もち、犬耳付けたまま
尻尾とグローブも付け足したりなんかしたりして。

「秀ちゃんマジ可愛い!!!」

「……あ、そぉ」

相変わらず冷たいけど
その冷たさが秀ちゃんらしいというか
愛すべきポイントというか。

この後2日ぐらい口聞いてくれなかったけど
それでも隣に居る幸せは
何にも変え難い人生の悦びであることに
かわりは無い。と思う俺なのでした。

チャンチャン♪




(今度は猫にしようかな……)
(ヒロ、次やったら殺すからな?)
(えー?うんうん、ワカッター。)
(ホントに解ってんのかコイツ…)
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