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言葉の壁 [ばんぷ]



なあ



藤原



お前に言いたいことあんだよ



俺さ







俺、な



…………お前の事、



―君に伝えたいことば―



藤原との付き合いは幼稚園からだった。
(つっても正確に思い出せんのは中学からだけど)
いってみれば、幼なじみ。
まあ、他二人(ごめん、ヒロ、チャマ)も一緒なんだけど。
そんな俺らは奇跡的に同じ道を歩き、同じ職場で働き、同じ時間を共有している。
さらに奇跡的に、藤原は俺のこ、恋人だったり…す、る。(照



で、こ、恋人、の藤原は、痘痕も笑窪かもしんねーけど、いつも優しい。
俺のことを良く気にかけてくれるし
話をするときも、遊ぶときも、
触れるときも、キスするときも
いつだって、優しいんだ。
す、好きだって言ってくれるし。



だから、俺も、アイツの事、凄い好きだし、もっと傍に居たい。



だけど……。



捻くれた性格の俺は優しい藤原の足元にも及ばねぇ。
優しくしたいのに
触れたいのに
キスしたいのに



好きだって言いたいのに。



どうしても、出来ないんだ。
なんか…こう…恥ずかしい………というか、
背中が痒くなる、というか?



できなくて、つか、逆にしたいことをしてもらって、いつも心ん中で謝ってる。



ごめん、藤原。
何もしてやれなくて。



って。



藤原は、それでも良いって言ってくれる。
優しく頭を撫でてくれる。


でも、それじゃあ俺の気が済まないんだ。



だから。



だから、今日は。



恥ずかしいけど。



背中痒いけど。



藤原に、伝えようと思う。



今までできなかったこと。
今まで言えなかったこと。
俺の……キモチ。



「なあ、藤原ぁ。」
「なに?升。」
「あ、あんな。」
「うん?」
「えっと……な。」



意を、決して。
藤原の目を見た―――…が最後。
俺の言葉はさながら喉の奥に刺さった魚の小骨のように引っ掛かって取り出せなくなってしまった。



………何だってお前はそんな優しい目ぇしてんだよ馬鹿。



悔しくて、情けなくて……気付けば、伝えたいキモチが塞きを切ったように涙に代わって溢れていた。



「ま、升!?」



慌てる藤原。
そりゃそうか。
だって急に目の前で大の大人が泣き出したんだもんな。



背中をさすってみたり、
頭を撫でてみたり、
優しい言葉をかけてくれたり。
ほんとにお前は優しさの塊だな、藤原。



だけどさ。
今日はほんっと、頑張るって決めたんだ。
だから、言葉にはできないけど、涙も止まんねーけど、なぁ、藤原。



(愛してる)



このキモチ、伝わんねーかな。



こんな子供騙しのキスなんかじゃ。



藤原。
いつか、ちゃんと伝えるから。
言葉に変えて、伝えるから。



それまでもう少しだけ、待ってください。





(升…………マジ萌える)
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